ベングリオン大学
我が師、糸川英夫が生前最も親しく交わっていたのが、
イスラエル、ネゲブ砂漠にある「ベングリオン大学」でした。
「荒野に挑む」という糸川先生の本は、
ベングリオン大学への賛歌であり、
本の印税はすべて大学へ寄付されました。
糸川先生の主催されるイスラエルハイテクツアーのハイライトで、
砂漠の町、ベエルシェバにあるデザートインという小さなホテルに、
ベングリオン大学の総長、学長はじめ教授たちを招き、
一緒に食事をして、歌を歌ったり踊ったり、
実に親しく交わるひとときをもったものです。
糸川先生とベングリオン大学副総長のウィズニャック教授の自宅に、
シャバットの夜伺ったことがあります。
初めてイスラエルに行った時のことですから、今から30年前のことです。
シャバットとは、安息日のことで、
旧約聖書・創世記に、創造主は天地の万物を6日で創り、7日目に休んだと書かれています。
神が休まれた日に人が働くのは良くないことだとして、ユダヤ教では労働を禁止しています。
ユダヤの1日は日没から始まるので、
金曜日の日没から安息日が始まると、すべての公共機関は止まります。
火を使うことは仕事とみなされるので、
料理もできません。
ユダヤ人は、国を持たず世界に散らされていたときも、
その地で安息日、シャバットを守り続けました。
安息日には7つの燭台・メノラーにロウソクを灯し、
聖書を読み、祖先の苦労を偲ぶのです。
ユダヤ人がシャバットを守り、シャバットがユダヤ人をユダヤ人として守ったと言えましょうか。
モーセの十戒にも「安息日を守れ」と厳しく定めされています。
さて、
ウィズニャック教授のお宅です。
「シャバットにお客を迎えるのは幸いなことだ。
それも遠方からのお客であればあるほど祝福だ。
だから、今夜アカツカが来てくれたことは嬉しい」と言ってくださいました。
糸川先生が、「私も日本から来てるよ」と言うと、
ウィズニャック教授は小さくウインクして、
「イトカワは客ではなく家族なんだ」と言ったのです。
そのやりとりに胸がぐっと熱くなったことを覚えています。
それまでの糸川先生とベングリオン大学のつながりの深さと信頼関係、
様々な歴史が一気に感じられた瞬間でした。
糸川先生亡き後も、
ベングリオン大学は、私のところに毎年大学案内を送り続けてくれました。
しかし、
ツアーでは、大学を訪ねることはなくなりました。
参加される方にとって、研究施設を訪ねることは楽しくないだろうと思いましたし、
関心もない人たちを連れて行って大学側に不快な思いをさせてはいけないという気持ちからでした。
あれから18年。
今年5月のツアーのとき本田健さんが私にこう言いました。
「赤塚さん、糸川先生が願っていたことの半分もツアーでできてないね。
なんだか、糸川先生がそう仰ってる気がするんだけど」
いろんなことが見えるんですね、ベストセラー作家というものは。
驚きました。
そして、同時に深く考えさせられました。
確かにアカデミックな部分はすべて削って、
聖書の世界とイスラエル建国の歴史にスポットを当てた旅でしたから、
世界最先端のイスラエルの農業や科学、技術を蔑ろにしていました。
「ヤマトとユダヤを結んで最高の人生を送る」
と、ライフワークを決めた以上は健さんのアドバイスを大切にしよう。
そして、
ベングリオン大学にコンタクトをとりました。
すると、大学はとても喜んでくれて
「アカツカはいつイスラエルに来るのか」と・・・
と、いうわけで行ってきます。
現地3泊という弾丸ツアーです。
舩井勝仁さんも小川雅弘さんもいません。
旅行会社の社長と一緒に行ってきます。
ベングリオン大学からきた大学訪問のプログラムです。
MR Akatsuka 2018.11.13
10:00 ベングリオン大学、マルクスファミリーキャンパス到着
ハダス=モシェバラトさんによる案内
10:45 大学内案内
11:30 研究施設を訪問
12:15 社会奉仕活動部の学生と昼食
13:00 スデーボケルへ(ネゲブ砂漠)
14:00 ジェイコブ・ブラウスティン砂漠研究所到着
ノーム・ウェイスブロド研究所所長とミーティング
14:45 ダニエル・ヒュアマン教授とミーティング(エネルギー環境物理学部)
15:15 ダビッド・ベングリオンの墓地に出発
15:30 アディ・ポーチュギス博士とベングリオンの墓訪問
16:00 終了出発
なんと、
6時間のプログラムを組んでくださいました。
賢こそうにします。
糸川先生が願ったこと、ほんの少しでも担うことができたら嬉しいです。
今夜の飛行機で行ってきます。