人生相談という勘違い
ひとりにひとつずつ大切な人生、
代わりのきかない唯一無二の学びです。
さて、
世の中には不思議な人がいます。
そんな自分だけの人生を、
会ったこともない他人に相談するという、
驚くべき行動をとる人々です。
だいたい、相談する段階で本人が答えをもってますから、
その答えにふさわしい返答をしてくれると
「いい人」
気に入らない返答をされると、
「わかってくれない」
と、採点したりするのですね。
だいたいこの人はどんな答えをもっているのかがわかりますから、
それにそって返事すると
「人の気持ちがわかるんですね」とほめられます。
産経新聞に人生相談のコーナーがあって、
回答者の答えがとても面白いので読んでいますが、
今週の回答はあまりに素敵だったので、ブログで紹介します。
回答者は、作家の山本一力さんです。
よみつつ拍手喝采しました。
(引用ここから)
「都内の女性会社員。暮らせるだけの給料をもらい、仕事に大きな不満はありません。
でも近い将来、人の健康を助ける仕事をしたいと考えていて、その勉強のために退職を検討しています。
友人に相談すると「かなうかも分からないことのために辞めるのはもったいない」と言われます。
正論ですし、老後のことを考えると、私も気持ちが揺らぎます。
矛盾しますが、今の仕事も大切です。不器用なので、仕事をしながら資格の勉強に時間を割くことはできません。
貯金と退職金で、学費と2,3年分の生活費はまかなえそうですが、勉強し終わるころには50代。
安定を捨てるのは無謀でしょうか。再出発には遅すぎるでしょうか。
(東京都、40代女性)」
おやめなさい。
安定を捨てるのは個人の自由だし、再出発に遅すぎもしない。
あなたが中途半端であるゆえに、ことはうまく運ばない。
で、おやめなさい。
決めつける理由を挙げさせてもらう。
毎月定まった報酬が得られることへの、認識の甘さ、感謝のなさだ。
勤務する会社は、慈善事業者ではないはずだ。
暮らせるだけの給料を支払う代わりに、当然、相応の仕事をこなし、
その仕事と向き合うときの真摯な忠誠心を、会社は期待しているはずだ。
あなたはそれに応えているのか。
当節では従業員解雇には、さまざまな制約がある。
しかし、あなたが隠し持つ真意を知った会社は穏やかではなくなるは必定だ。
あなたと同じことを考えて、本気で突き進もうとする者は、すでにやっている。
退路を断ち、前進のみに自分を置く。
いまさら、迷えるぜいたくなどない。
毎月給料を得るとは、なんと幸せか。
物書きのわたしを、世間では「直木賞作家」と評してくださる。
しかし、実態は、潜在的失業者にほかならない。
原稿注文がなければ、収入はない。
続けて注文がいただけるように、
読者に新刊を購入してもらえるように、
ひたむきに今日も原稿を書いている。
5分で読了できる原稿執筆に、ときに半日を費やす。
きついが、書いているときが一番、気持ちが安らぐ。
あなたは今日も会社運営に貢献しているとの、肌に感ずる実感はおありだろうか。
今月も給料をくれる会社のために何ができるか、自分に問うていただきたい。
明日、退職勧告の肩たたきを突然されたとしたら、安定を捨てるか否かの選択権など、
もはやあなたの手には残っていない。」
(引用ここまで)
私たちが生きている「今」は」、
人類の進化の頂点であり、命と次元の接触点です。
どんな過去の経験も役に立たないほどの大きな特異点に生かされているのです。
だからこそ、
人生に保険や保証など求めず、
あるべき自分を「冒険」するのです。
そのために未来を決めて紙に書く。
そして、その未来からやってくることを喜んで受け取っているうちに、
はじめの一歩を踏み出していたことに気づくでしょう。
人生二度なし。
喜びの世界で生かされて参りましょう。