赤塚高仁ブログ

如己愛人(にょこあいじん)

2019.01.16

 長崎聖書塾を主催してくださった望月ローラさんが、
講義の前に私を連れて行ってくださったのが「如己堂」でした。
2畳一間の小さな家、それが「如己堂」です。
43歳で亡くなった永井博士は原爆の2か月前に、
自らの放射線治療の研究のダメージで被爆し余命3年と宣告されていました。
38歳のときです。
しかし、
御自身より先に、奥様を原爆で失ったのは想定外のことだったでしょう。

イエスキリストが、その教えの中で最も大切なこととして
「己を愛するように
 あなたの隣人を愛しなさい」と説きました。
それが「如己愛人」であり、
寝たきりになった永井博士の庵が「如己堂」と名づけられた所以です。

私は永井博士と違って、クリスチャンではありません。
でも、
 聖書は宗教の経典ではなく、まさに万国民に与えられた時代を超えた知恵の書だと知りました。
 ・・・聖書がどれほど今も世界に影響を与え続けているのか、知れば知るほど驚かされます。

 キリスト教には馴染めなくても、聖書を深く読むことはできます。
イエスはキリスト教の教祖になるつもりなど毛頭なく、教会などなく、道端で教えを説いていたのですから。

  やまとこころで読む聖書。
そしてまた、
聖書に学ぶやまとのこころ。

 イエスの教えを宗教という範疇に押し込まず、
もっと大きく、
もっとたおやかにキリストを人生に迎え入れたいと願わされています。
 ユダヤ人が新約聖書を読まないなら、
我々ヤマト民族が新約聖書を学び、
そして、本当の意味での福音を知り、
それを世界に発信する必要があると感じています。

イエスは「愛」を説きました。
キリストは「聖霊の愛」です。
決して宗教戦争をさせるためにイエスはこの世に来たわけではありません。
 キリスト教もユダヤ教から生まれたものです。
イスラム教も旧約聖書がルーツですから、兄弟の喧嘩です。
殺してはならないと教える宗教同士が、どうして殺し合いをするのでしょうか。

 神は、成功者を求めてはおられません。
一人ひとりが「神の子」としての光を現すのを待ち望み、
そのことをお喜びになります。
イエスは、すべての罪も悲しみも労苦も重荷も、
代わりに背負ってあげようと言ってくださいました。
しかし、
罪に定めることが一つだけある、と言っています。
それは、
「神に背を向ける」ことです。

「神の子」の光を現すことが、
私たちの本来のあるべき姿なら、
私たちが光らなければ、神様は失望なさるでしょう。

一人ひとりこの世にやってきた役割は違います。
だから、それぞれが自分のまわりを照らすのです。
 私たちは、いつの間にか「何かをしなければならない」
「何かにならなければならない」という価値観にしばられてきたようです。

 木を植える人がいます。
木を切る人がいます。
それを材木にする人がいます。
組み立てる大工がいます。
その上に瓦を乗せる職人がいます。
その瓦を焼く人がいます。
電気を配線する電気屋がいます。
電線を引く人がいます。
電気を作る人がいます。
テーブルや椅子を作る人がいます。
そこに乗っているお茶碗を焼く人がいます。
箸を削る人がいて、
魚を焼く人がいて、
魚を運ぶ人がいて、
魚を捕る人がいます。
野菜も米も誰かが作ったもの。
テーブルの下のじゅうたんも遠くの国の誰かが織ったもの。
音楽を聴いていれば心が和みますが、
その曲を作った人がいて、
壁の額も絵も誰かが作りました。

 この世界はいろんなものでできていて、
必要でないものは一つもありません。
すべてありがたいものです。

みんなちがって、みんないい のです。

足りないところや、人との差を探すことや、
人と同じであるということに抵抗を持ち、違うものばかり探すことも、
もうやめにしましょう。
目的を同じにしようとしたり、
競い合ったり、戦ったりせず、
上だ、下だ、勝った、負けたと騒ぐのでなく、
お互いのいいところを尊重し合える世界、
そんな世界の住人になれば、宗教の違いごときどうでもいいことでしょう。

「おかあさん」「母上」「かあちゃん」「おっかあ」・・・
どんな風に呼ばれても優しく

「はい」

と返事してくれる母のように、
神様も何と呼ばれようと同じお方です。

私たちは、一人残らず「神の子」です。
自分で自分を大切にし、誰かに評価されたり称賛されなくても、
自分で自分を褒め称えましょう。
今日までよく死ななかったと。
そして、今日からの仕事は生きることです。
自分の中にある神の子としての光を現して。

そのとき、人は人を愛することができるのだとイエスは言いました。
「己を愛するように、あなたの隣人を愛しなさい」と。

永井博士の洗礼名は「パウロ」でした。
今日は、なぜだか
永井博士のことを思わされてなりません。

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