見えない洪水と方舟
旧約聖書の創世記に「ノアの箱舟」の物語があります。
世界中の誰もが知っている話でしょう。
聖書でなくても、多くの神話に洪水や滅亡の話が伝わっています。
人が自由意志で気ままに暮らし始めると、
環境破壊が起きて、やがて地球の浄化作用で滅びてしまう。
と、
いうよりも
生きとし生けるもの一切が、
生まれて
育って
死んでゆく・・・無常の世界にあるのです。
私たちの今回の文明の前にも文明があったようです。
遥かに高度な技術があったことも残されています。
見えるものや、科学万能という信仰をもつ現代人にとって、
見えないものは信じない、死んだら終わりという「常識」こそ、
神さまとのつながりを断ち切ってしまう刃でしょう。
私は、神は裁かないと思っています。
神は愛です。
天変地異があるのはいわば当たり前のことであり、
とりわけわが国、日本は地震や台風が日常茶飯事。
そこに、
私たちが、生まれ住まわせていただいているのです。
聖書に戻りましょう、ノアは神から聞かされます。
「わたしはすべての人を絶やそうと決心した。
わたしは地の上に洪水を送って、命の息のある肉なるものを、
みな滅ぼし去る」
ノアは、神に命じられたように箱舟を造ります。
やがて大洪水がきて、ノアと家族、箱舟に乗ったつがいの動物は生き残りました。
神話です。
神話は、事実である必要はありません。
そこに伝わる「真実」を読み解き、今を生きるエネルギーに変換しましょう。
ノアが神の声を聞いて箱舟を造ったのは、海や川や造船所ではありません。
日常の暮らしの中です。
生きている「現場」です。
その船は、エンジンも帆も舵も窓も何もない「浮かぶ箱」でした。
人々はノアを嘲わらったことでしょう。
人の声を聞いて生きている人々は、
日々の暮らしに忙しく、
それでいて、過去を悔やみ、未来を思い悩み、
「今」「ここ」に生きることができません。
人からどう思われるか、
親からの呪縛にとらわれたまま、自分の人生を生きていない。
それでいて、神の声を聞くノアを笑ったことでしょう。
でも、洪水はおこりました。
当たり前のように昨日と同じ明日がやってくると思っていた人たちは言いました、
「想定外」だと。
生殺与奪の権を他者に預けていた人たちは、みんな沈んでいったのです。
「洪水は40日の間地上にあった。
水が増して箱舟を浮かべたので、
箱舟は高く上がった」
いま、見えない洪水がやってきました。
神さまは、地球は、ずっとまえから警告を発していてくれたはずです。
このまま進めば、人類にとって都合のいい世界は、持続できなくなる、と。
いま、外側に様々な問題が起きているように見えるけれど、
私たちひとりひとりの内側の「変容」が促されているのです。
一人一人が、願い事を叶えて、思い通りに生きる世界から、
それぞれに願われていることを「よろこんで」果たしてゆく世界です。
それを無自覚から自覚へ、
無意識だった領域から意識して生きる領域へ。
「知ってる、持ってる、それできる」
から
「やってる、生きてる、よろこんでる」
方舟をつくろう。
見えない洪水には、見えない方舟を。
それは、わたしが、あなたが願われていることを自覚して、
それを生きると「決める」ことです。