赤塚高仁に願われていること その4
当初扱ったのは、一般的な2×4住宅だったが、渡米して世界の家づくりと美しい街並みに触れたことで、日本の貧しい住環境に気づき、
以後はその変革を赤塚建設の目標に掲げることになる。
高い土地価格が低品質な住宅を生むという構造に一石を投じようと、
土地を買わないで、借りて、その分の資金を家にかけるという定期借地権というシステムの提唱するようになる。
土地神話が強固な日本では、非常識であり、到底実現不可能と思われた独創だったが、赤塚さんらは数年間に及ぶ地道な営業の末、
これを実践してみせた。
事業開始から17年が経過した現在も、定期借地の上に建つ家は ゆっくりとその数を増やしている。
日本に世界標準の街並みをという赤塚さんの夢は、まだ道半ばだ。
「前例がないからやってみようというのが糸川先生の口癖でした。
その声に背中を押されて、その時々の自分に嘘のない家づくりをしてきた。
だからか、以前に家を建ててくださったお施主様が今でも 完成見学会にきてくれて、赤塚の成長がわかると言ってくれたりする。
これは本当に嬉しいよね。
ずっと時代に求められる家をと考えてきたけれど、結局、発想というのは自分の枠の中で生まれる。
そうすると、いずれ尽きて過去の自分の成功を模倣し始めるんだ。
その先には、自己崩壊しかない。
だから、今は これまでのような進歩ではなく、まったく違う次元へのJUMP、 変容が必要だと感じる。
そこには外側からなすべきことを示され、突きつけられなければたどり着けないように思える。
自分が願うことではなく、自分に願われていることを果たしたいと言うのは、そういうことなんだ」
常に進歩の道を選び取って、自らの家づくりを追い求めてきた赤塚さん。
今年は、会員として参加していた工務店組織からも離れ、また大きな岐路を迎えているという。
永く住宅建設を人生と重ねてきて、家にどれほどの機能や素材を盛り込もうとも
それ自体が人を幸せにするわけではないと思うようになった。
住む人が供える、エネルギーを漏らさずに、住めば住むほど元気になってゆけるような家が造れたら、
そのとき初めて人を幸せにする家を建てたのだと胸を張れるかも知れない。
そんなことを今 思い描いている。
電話を貰ってから二年が経ったが、頼まれた会社案内はまだできていない。
無理に作ってしまわなくてよかったと思っている。