mumokuteki
ワシらは日頃、何かにつけて忙しくしています。
目的を設定し、その目的を達成することをとっても大事なことと思って走っています。
もちろん、目的を達成することは大切なことであり、その過程を楽しみ、成長することこそ人生の醍醐味といえましょうか。
ワシは、33歳の時、ログハウスを建てました。
20年前の自分に聞いてやりたいのですが、どうして65坪もあるあんなログハウスを建てようと思ったのか、と。
お金も全額借金です。 返済は終わりましたが、よく貸してくれたものですね。
団地のど真ん中で、集会場を建てる予定地を取得して、米国はモンタナ州からレッドシダーの丸太を船で送ってもらいました。
ところが、街中では防火の問題で外壁全てが木の場合、建築確認をおろすのが容易でないということを丸太が着いてから知りました。
役所の人に知恵を借りて、合法的に許可を得て建てました。
完成して、ワシが住むわけでもなく、モデルハウスにするわけでもなく、それでも次々と人が集まってきてくれました。
ところで、新潟の清水義晴さんが、そのころこんな葉書きをくださったのでした。
「新興住宅地の中心に建てられたこのログハウスは、不思議な空間でした。
これまでも美術展やコンサートなどがこのログハウスで開かれていましたが、ここは訪れる人によって変わる「空」空間とも無目的ホールとも言える様に感じました。
茶人が使えば茶室となり、牧師が使えば教会になり、画家が使えばギャラリーとなります。
赤塚様とここを訪れる方のご縁を結ぶ縁づくりの空間でもあり、また赤塚様の分身でもあります。
新しいライフスタイルを次々と創造する孵化器とも言えるようです。」
多目的な空間は、とても多くあります。
目的のため、その空間は目的を満たすためにつくられます。
でも、無目的ホールなんて、世界でどこにもありません。
車で遠いドライブに出かけたとき、ワシらは必ずスタンドに立ち寄って給油をします。
そこでは、エンジンを停止します。
そして、再び走り出すのです。
エネルギーって不思議です、入れよう入れようとしても入ってきません。
でも、浸透圧のように、内側の圧力が下がれば、自然に外から流れ込んでくるもののようにも思えるのです。
目的・欲・エゴ・・・ぱんぱんに膨らんだ「自分」を、ふっと目的のない時空においてみる。
そうすれば、胸の中になつかしいメロディーが流れ出すかもしれません。
糸川英夫博士も何度も何度も訪ねてくださった無目的ホール、いまも中で空気を吸うだけで元気になります。
無目的ホールは京都に、mumokutekiは、わが兄弟に引き継がれ、ブランドとなって全国に展開されているようです。
願わくば、そこを訪ねた人々が、エネルギー・チャージされ、元気になりますように。