住宅が産業なのは、日本だけ
赤塚建設は、私が入社するまで、太平住宅とミサワホームの工事店でした。
ときには、三井ホームの2x4住宅も建てました。
大手ハウスメーカーの宣伝力は凄まじく、湯水の如く広告宣伝費を使いますから名前は知られてゆきます。
ミサワホームが、プレハブというものを生み出したとき、私の父は「あんなもの人間が住む家じゃない!」と言ったものです。
しかし、そのメーカの傘下に入って工事店として働かされました。
営業ができなかったからです。
お客さんが訪ねてきて、建ててくださいとお願いされる時代を経験した大工さんたちは、家を売ることなんかできません。
お客さんは待っていてくれるものだ、と思っているうちに大手ハウスメーカーの時代がやって来て、
大きな網でごっそりお客さんをさらってゆきました。
人間が住むものじゃないと父が言った、合板と新建材で瞬く間に造られてゆく家が町にあふれてゆきました。
ホルマリンの臭いで目が痛くなっても、気持ち悪くなっても、
「時間が経てば消えますから」と説明して、売り続けていった量産住宅。
世界で珍しい、耐久年数25年という家が、我が国のスタンダードとなっていったのでした。
ハウスメーカーの営業マンがいい感じだった・・・これが、契約のほとんどの決め手だと言います。
恐ろしいことです。
営業マンは、契約のプロですが、建築の素人です。
私は、稼業を継いだとき、ハウスメーカーの営業マン、設計担当、工務担当の人たちと話しても、建てる人の顔も知らない現場をたくさん経験しました。
とにかく数をこなさないと食べてゆけないのです。
お客さんと契約したハウスメーカーは、自分たちの経費(ハンパな粗利ではありませんよ)を抜いて、下請けの私たちに投げます。
そこから自分たちに必要な経費を絞りだすのですから、ゆっくり丁寧にお客様のために仕事するなんてできません。
ただこなしてゆくだけ。
こんな状況に耐えられず、住む人のために家を建てたいから下請けを辞めようと父に相談しました。
26年前のことです。
じゃあ、営業してこい、そしてそれが増えたらやめようと父は言いました。
とんでもない、下請けのくせに自分たちで仕事を受けるなんて許さない、メーカーさまに紹介して元請け様が受けてお前に仕事をやろう・・・と、ハウスメーカーから圧力がかかります。
私が受注した現場をみつけたハウスメーカーは、大いに怒りました、専属工務店のくせに、と。
父に、「二頭の馬に同時に乗ることはできないよ。 メーカーの下請けを辞めるか、ぼくがこの会社を辞めて住宅の仕事と違う商売を始めるかどちらかにしよう」と迫りました。
父は、「お前の思う通りにしたらええ、もうワシは何も言わん」
本当に、亡くなるまで私の好きにさせてくれました。
赤塚建設と大塚家具の違いは大きいですな。
ながながと思い出話を書いてしまいましたが、実は、ここからの仕事が一番大変でした。
どれだけいい仕事をしようとも、名前を知られていない会社は信用がないのです。
TVで有名な会社だから安心だと信じる世界をブレークスルーするのは、容易ではありませんでしたが、お陰様で今日までやってこさせてもらいました。
それは、わが師糸川英夫の「前例がないからやってみよう!」という教えがあったからと、大きく見守ってくれた先代の社長・父のおかげです。
世界中で、住宅が産業になっているのは日本だけです。
どんな国であっても、住宅は民族の歴史と気候風土の合わせた「文化」なのですから。
それを取り戻したいと願うのです。
夕べ、四日市の完成見学会に来てくださった御夫妻がわが社に来てくださいました。
見学会の間、奥様は建物の中で鼻水が止まっていたのに、外に出てしばらくするとまた苦しくなったそうです。
家のもつエネルギーを体感されて、心が動いたのでしょうか。
その日に土地を見に行き、そこに決めようと思うと言われました。
「もっと、いろんな土地を見た方がいいのでしょうか。 建設会社もいろんなところを調べたいのですが・・」と奥様。
100点満点の土地なんてありません。
100点満点の工務店もありません。
だって、結婚相手も全てを知ったら結婚できないでしょ。
縁あって、出会った相手と幸せになる。
その相手を、幸せにせずにはいられない自分になる。
それが生きるということじゃないですか。
・・・と、いうわけで 究極の健康ECOハウス「住めば住むほど元気になる家」誕生することになりました。
私や私の会社を信用する前に、この家に入った瞬間のときめきを信じて欲しい。
誰かが言ったことや、大きいということや、有名であるというレッテルよりも、自分の直感を信じて欲しい。
そんな方との出逢いのために、私は毎朝ブログを書きます。
これが赤塚高仁です。
住宅を文化だと思える仲間が増えて、日本がよくなるといいなと思います。
衣食住、 住まいもようやく本当のことが届き始めたようです。
日本よ、永遠なれ!と祈りつつ、すべては住まう方の笑顔と健康のために。