スカブラ、一直線
入江富美子「ねえ、赤塚さん、スカブラって知ってる?」
この男こそ、「スカブラ」なのです。
スカブラは、石炭を掘りません。炭鉱の中で、エッチな話やおもしろい話をしたり、みんなにお茶を出したりしているのです。これが仕事なのです(笑)
このようにスカブラを採用して仕事をしていた九州の炭鉱会社でしたが、日本のエネルギーが、石炭から石油に代わっていくのに合わせて、会社も傾いていきます。
すると当然、リストラの話になるわけです。
役員たちは話をします。
当然、「何もしていない"スカブラ"からクビを切ろう」という結論になります。
そして、スカブラをリストラし、10人の炭鉱マンのみが、炭鉱の中に入って行くようになりました。
その結果どうなったか?
作業効率が大きく下がりました。スカブラがいなくなってから、今まで同じ時間でやれていた仕事が、全然できなくなってしまったのです。
そして、炭鉱マンたちの人間関係もギスギスしていったそうです。
・・・やて、これってすごくない!
ねぇ、赤塚さん、私らってスカブラとちゃう?」
なにやら、ふーちゃんは異常に嬉しそうなのだ。
あ「ふーちゃん、これって、喜んでええ話か?」
ふ「そやねん赤塚さん、スカブラいなくなったら作業効率下がんねんで。
スカブラは、何も生産せえへんのに。
まわりでエロい話したり、笑わしてたら生産性が上がるってすごいやん!
私ね、現場でなんか手伝うってゆうたら、いつもスタッフに ふーちゃんは、ええから、
あちこちいってオモロイ話しててって言われんねん。
それにすごい罪悪感あったんやけど、スカブラ知ってめっちゃ楽になってん!」
そうか、これが私の生きる道だったのか。
て、ゆうか、すでにそうやって生きて来たような気がします。
一晩中考えてみて、ついに私は私を承認したのでありました。
スカブラ、一直線。
だから、これでいいのだ!