失うこと、手にすること
澤田さんから、「アカツカさん、赤塚建設、建ててほしくない建築会社、ワースト3に入りますよ」と言われました。
技術者である彼が、会社を去る決意をしたことで現場監督がいなくなる不安をお客様に代わって言ってくださったのでしょうか。
それとも澤田ファミリーの投票によって、客観的に選ばれたのでしょうか?
どちらにせよ、グループの中で最も「建てて欲しくない」会社だとジャッジされたのは間違いないようです。
このことは謙虚に受け止める以外ありません。
大学を卒業する前からわが社に来てくれていた彼は、人柄のいい素晴らしい青年です。
ほとんどお客様から苦情を言われたことがありませんし、多くの信頼を勝ち得て今日まで赤塚建設を支えてくれました。
仕事は丁寧で、細かいところまで気を配る、ワシと真逆のA型
約20年に渡り、共に泣いたり笑ったり、今日までやってきました。
新しいプロジェクトを立ち上げる時、いつも頼りにして、シアトル、ロサンゼルスも数度同行してもらい、ワシの思いを共有してもらいました。
定期借地の街づくりも、アメリカデザインハウスも一緒に走ってきました。
そして、生体エネルギーの家も、30年2x4建築一本でやってきたものを捨てて、彼に在来工法で挑戦してもらいました。
いずれは会社を任せようと考えていました。
丁寧にコツコツ仕事をする彼に、年間20棟の家を完成させるという新しいミッション
に挑んでもらいました。頑張って考え方を変えようと努力してくれました。
しかし、名古屋澤田塾に同行してもらった翌日「僕には無理です、会社をやめさせてください」と。
きつく、理不尽なことを言ったかも知れませんが・・・
・・・この現実も受け止めなければなりません。
心の中には、いろんな思いが渦巻きます。
神様の宿る家、検定試験にも合格してくれた彼です。 ずっと一緒にいるものだと思っていましたし、そこにいるのが当たり前だと思っていました。
でも、そうではないのですね。
彼は今年いっぱいで卒業です。
彼が選ぶすべてのことに無限の祝福が降り注ぐように祈ることしかできません。
そして、ワシらは、「建てて欲しくない工務店」から「建てて欲しい」工務店に進化するため、澤田イズムを徹底的に継承しなければなりません。
個人的な感傷を捨てて、自分をも捨てて
ただ、住まう方の笑顔と健康のためだけに、すべてのベクトルを集中しなければなりません。
何かを一つなくしたときに、人は知らずに何かを手にするのかも知れません。
53年間続けてこられた赤塚建設という存在は、いま崩壊と再生の真っただ中にあります。
協力業者さんたちの力を借りながら、変わり続けてゆきます。
人が辞める、去るのは、理由はただひとつしかないのでしょう。
それは、リーダーに希望を見出せなくなったからです。
彼が、ワシに希望を失ったという事実も受け止めなければなりません。
「建てて欲しくない会社 ワースト3」 この汚名を挽回するためにも澤田塾に学びます。
もう、社員さんを辞めさせたくありませんから。