夜明けの停車馬
石鎚山のふもとの町、伊予西条で聖書の勉強会が始まったのが今年の八月のことでした。
近藤夫妻が、ワシを講演に呼んでくれたのが二年前。
立派な会場を借りて、エドガーケイシーの光田秀兄とのジョイント講演会でしたから、大変な赤字だったに違いありません。
にもかかわらず、繰り返し繰り返しワシを講演に呼んでくれました。
「神話に学ぶ大和の心」 次第に聴衆は増えてきました。
ご主人のこうじさんは、脳梗塞で左半身が不自由です。
奥さんの千恵子さんは、スキーでオリンピック候補生だったけど靭帯断裂で断念、治療師をしておられます。
そんな二人が、仲間を連れて伊勢で開催される、神話を体感する会に参加してくれるようになりました。
真冬の五十鈴川で禊ぎもされました。
そんなお二人が、伊予西条の自宅を開放して聖書の勉強会を月に二回開かれるようになったのです。
聖書は、キリスト教という宗教の教典ではありません。
4000年前から読み続けられている全人類の知恵の書だと、わが師、糸川英夫博士から教えていただきました。
それが何より証拠には、聖書は2600以上の言語に翻訳され、今でも全世界で毎年1000万部以上売れ続けている永遠のベストセラーなのです。
ワシは、糸川博士から聖書の手ほどきをうけ、創世記、出エジプト記、レビ記、詩篇を通してユダヤ民族の神話と歴史を学ぶことによって、いつしか日本が見えてきて、古事記がわかるようになりました。
魚に水が見えないように、日本人には日本が見えないということもわかってきました。
人間は、歴史を背負い、民族となります。
戦後、ワシらは意図的に歴史を消され、「日本人のようなもの」にされてしまいました。
ワシは、10年前にこのことに気づき、日本人になるため神話と歴史を学ぶことにしたのです。
各地でそんなこと伝えているうちに、下呂、伊予西条、群馬、北海道、浜松で学びの会が生まれています。
夕べは、伊予西条での学びのひととき、20名ほどの仲間とともに涙を流し祈りました。
夜明けの停車馬から汽車に乗り、瀬戸大橋を渡って帰ります。
美しく稼ぎ、たくましく繋がる。
毎日生かされていることの不思議に手を合わせます。