一杯のうな丼
ちょっとまえのこと、「一杯のかけそば」って話がブームになりましたね。
一杯のかけそばを食べる親子の話だったと思いますが、なぜか講演会場は蕎麦屋のようにズルズルと音がして、
聞く人たちが涙してたのでした。
南山大学卒業後、オーストラリアに一年行って、そのあと英語学校で働いていたマホちゃん先生ですが、
この4月から赤塚建設に入社しました。
面接も入社試験もありませんが、気がついたら合格して毎日出社してくれています。
さて、昨日は初めての御給料日で、マホちゃん先生にも支給されました。
夕方になると、マホちゃん先生 「初めてのお給料で、お父さんとお母さんに御馳走をします」と。
津は、一人当たりのうなぎ消費量、日本一の街。
美味しいうなぎ屋さんがいっぱいあり、ワシらのソウルフードはうなぎだと言っても過言ではありません。
ワシは、小学校、中学校、高校と通学路の途中にあるうなぎ屋さんの換気扇の下で、煙をあびるのが何よりも幸せでした。
ですから、ワシの帽子はうなぎの油でテカテカになってましたし、制服もうなぎの匂いが沁みこんでました。
大好物です。
ワシのつかみどころのない性格は、うなぎに似たのかも知れませんな。
それは、さておき、ワシらが一番大好きなうなぎ屋さんに行きました。
「なんでも好きなもの食べてください」と、マホちゃん先生。
ワシ、ビールとちょっとしたおつまみを頼みました。
ホンマは特上を注文したかったのですが、中のうな丼をいただきました。
ワシが23歳のとき、一人で飛島建設四国支店に配属された春、初任給で父にベルトを買って送ったのを思い出しました。
母にも何か、高松三越で買ったと思います。
いつの間にか、時は過ぎて、何もかもが変わって、立場も景色も変わりました。
でも、あの頃わからなかったことが、いまほんの少し分かりかけています。
それは、親の気持ちです。
これまでの人生で、一番美味しい、 そう、涙が出そうなほど美味しい最幸のうな丼でした。