奇跡の一本松と震災ビオラ
わが師、糸川英夫博士は隼戦闘機の設計、日本初のロケットの打ち上げ、前例のないことを次々と実現した日本のレオナルドダヴィンチのような人でしたが、ストラティバリウスに負けないバイオリンを45年間かけて完成させたことでも知られています。
ヒデオイトカワ号と名付けられた一本のバイオリンの物語は、「80歳のアリア」という本にもなっています。
35歳で取り組んで、80歳で完成し、そのお披露目にサントリーホールでコンサートを開いたのでした。
譜面台を秋山さんが作ってプレゼントしたのも懐かしい思い出です。
糸川先生は、チェロの奏者としても有名で、ステージで浜辺の歌など数曲披露してくださいました。
さて、ヒデオイトカワ号を弾いたのは、中澤きみこさん。
バイオリンを最終的に完成させたのが天才中澤宗幸さん。
中澤夫妻とは、ワシも25年来の親しいお付き合いをさせてもらっています。
さて、今朝の産経新聞を読んでいたら
「皇太子さま 震災ビオラ ご演奏、実現の陰に皇后さまのご配慮」という記事が。
奇跡の一本松や震災の流木を使って製作したビオラやバイオリンを多くの人に弾いてもらい、各地に音色を届けるプロジェクト「千の音色でつなぐ絆」は製作者の中澤宗幸さんとバイオリニスト、黒沼ユリ子さんが参画する、
一般財団法人「クラッシックフォージャパン」が続けてきた。
皇后さまは、今年1月に黒沼さんが震災バイオリンを弾いたコンサートを鑑賞した際、中澤さんとお会いに。
「皇太子殿下にもお弾きいただければ」という希望を聞かれていた。
かくして、皇太子さまが中澤さんが作ったビオラを演奏されることとなったのです。
客席では両陛下と雅子さまが拍手を送り、曲の前後には楽しそうに歓談される姿も見られたそうです。
記事にはこう書かれています。
「 中澤さんは、 被災者に心から寄り添われている両陛下と皇太子ご夫妻のお気持ちが重なり、流木に詰まった多くの人々の思いがより深く伝わったと思う。 と話していた。」
善き友は人生の宝。
中澤さんのがんばってる姿に、魂があったかくなります。