一箱のチョコレート
東京の和泉さんからチョコレートが届きました。
秋田出身の和泉さんは、同郷の檀密さんを2倍美人にして賢くした感じの方ですが、
チョコをくれるなんて、きっとワシに気があるのだな と包みを開けると・・・
「盲導犬クリスマスチョコレート」が出てきました。
ずいぶん前にご縁をいただいて、お話させてもらった盲目の歌手、井上わこさん。
「目が見えないのは不自由だけど、不幸せではない」と言い続け、毎年盲導犬を贈り続けた方でした。
23頭目を贈り終えた平成23年3月、永眠されていたことを知りました。
御無沙汰をしていたことを申しわけなく思います。
遺志を受け継がれた、昭和企画の梅村様によって毎年、贈り続けられていることも知りました。
いつの間にか、すっかり自分の周りの人間関係が変わってしまっていたこと、改めてかみしめました。
檀密和泉さんのお陰で、心の奥の方の閉められていた扉が開いたような気がします。
チョコに添えて、手紙と一枚の文書が・・・鍵山さんのメッセージじゃありませんか。
「 三人の偉人
偉人とは「多くの人を助けた人」のことであると教えられました。
多くの人を助けた人、ということであれば、故・井上わこさんは正しく偉人です、お目が不自由で困っている方々に、盲導犬を贈り続けられ、その数は23頭にも達しました。
わこさんの遺志を継がれた妹の帯子さんと、このお二人を支えられた梅村昭博様のお三人こそ偉人と言っても過言ではありません。
過去から現代に至るまで、超人的な能力を備えた人が、星の数ほど現れました。
今も私のような凡人が、到底及ばない能力を備えた人は大勢います、高い能力だけではなく、地位や肩書・名声まで手に入れた人も少なくありません。
しかし、それらの人々を皆偉人と呼べるかと言えば、残念ながらそうとは言えないのです。
それは自分の持てる力をすべて、自分のために使う人は、偉人とは呼べないからです。
本当の偉人とは、自らに備わる力を自分のために使わず、人を助けるために使う人のことを指しています。
わこさん、帯子さん、お二人を支える梅原様のお三人は、自らのことを顧みることなく、視力を失って不自由な生活を強いられている方々のために、
盲導犬を贈って助けてこられました。しかもこのことは、盲導犬を育成する事業そのものをも、支えることに繋がっていました。
わこさんがご自身の過酷な人生体験から、目の不自由な方に盲導犬を贈ろうと一念発起されてから25年、梅村様が、わこさんへの支援活動として、盲導犬チョコレート・キャンペーンを開始されて21年、この間に何と26頭も盲導犬を贈り続けてこられました。
人にはすべての物事を変えてゆく力を授けられております、しかし、折角与えられた力を悪いことに使う人も少なくありません。
そうした風潮の中にあって、わこさんは人びとの善意を沸き立たせ、育ててこられました、そしてその偉業を梅村様が支えて達成への道を拓かれたのです。
梅村様の至誠によって、盲導犬を贈る活動が、チョコレートを買ってくださる方々、全員参加の運動になりました。
それは、あたかも舞台の上の役者と観客が心を通わせて一体化したのと同じです。
また百トンものお米が、一粒一粒が大きくなってできるのではなく、小さな米粒が沢山集まってできるものとも同じです。
ひとつ千円のチョコレートを買ってくださるたびに、盲導犬贈呈に近づくのです。
梅村様がこの21年間、盲導犬の贈呈に注ぎ込まれたご努力に改めて敬意を表します。
ご協力くださる皆様の善意が多くの人を助けつつ、皆さまもまた偉人への道を歩んでいらっしゃることをお伝えいたします。
平成25年9月吉日 鍵山秀三郎 」
わこさん、ごめんなさい 本当に御無沙汰を詫びます
そして、ありがとうございます。 天からのわこさんの祈りに応えられるよう、心を磨いてゆきます。