消える昆虫を憂う
東大名誉教授・養老孟司さんが、ネオニコチノイド系の農薬について、こんなふうに書かれています。
1900年代後半~2000年代前半にかけ、トンボ研究科の間で「アキアカネが激減している。このままでは絶滅するのではないか」との声が高まってきました。
原因は減少と軌を一に使用されてきた、ネオニコチノイド系農薬にあることが証明されました。
影響を受けたのはトンボやミツバチなどの昆虫にとどまらず、サンコウチョウ、オオヨシキリなどの昆虫食の野鳥なども急減しています。
稲作でネオニコチノイド系の農薬を用いると、成分は根から吸収され、食害する害虫の体内に蓄積され神経系に障害がおき、死に至る。
特定の害虫を狙い撃ちできる「夢の農薬」として90年代後半から使用量は増加し、2000年前後に急増しました。
・・・こんなメールをトンボ学会からいただいた。
わたし自身はその正否を判断する立場ではない。
しかし、問題は知っている。その先駆けとなったのは北半球におけるミツバチの減少である。
米国の養蜂業は蜂蜜の収穫を目的にしていない。
むしろ、受粉業である。特定の時期に要求のあった畑にミツバチの巣箱を運ぶ。
一日いくらでミツバチの日当をとる。
このミツバチが帰ってこない。 多い時は8割の巣箱がダメになったという。
農薬もその原因の一つとして疑われた。
私は長年、昆虫を採集している。 この数十年で、全体として虫が減ったことは経験として疑いない。
かなりの山間地でも、田畑があると採集をする気にならない。
虫がいないことが分かっているからである。
しかし、最近は田畑に限らない。 いわゆる本当の山奥でも虫が少ない。
今年、きわめて印象的だったことがある。
ラオスの宿の庭に宿の主人がキャベツ畑を作った。
ここにモンシロチョウが大発生した。
帰国後、私の地元の三浦半島で大きく広がったキャベツ畑をみた。
そこに一匹のモンシロチョウも飛んでいなかった。
これが、正しい世界のあり方であろうか。
知ること、そして意識すること。
一人一人が気付き、変わってゆくとき、世界は変わるのだと思えます。
情報という名の「ノイズ」のなかから、ほんとうのことを知るためには、ワシらのアンテナが立っていなければ聞こえてきませんね。
心を静かにして、本当に大切なことは何か、と思う気持ちを大事にしたいものです。