いろんな世界があって、いろんな人がかっこいい!
大衆演劇の世界。
大野勝彦先生の一本の電話がその始まりでした。
「赤塚さん、玄海竜二さんの芝居、小倉でやっとるけん、観たかったらついて行っちゃるけん」
玄海竜二さんのことは、随分前から大野先生からお聞きしてました。
本当に嬉しそうに話される大野先生の姿から、
大野先生はよっぽど玄海さんのこと好きなんだなって思ってました。
会うたびに、玄海さんのこと、必ず話してくださいます。
でも、 健康ランドでやってるような、何となく時代遅れの演芸といったイメージで、ものすごく行きたいって感じではなかったのです、正直言って。
でも、今回 大野先生が二人で観に行こうと言ってくださったのも不思議な感じで、
大好きな大野先生との二人だけのデートなんて素敵だと、はるばる出かけて行きました九州、小倉へと。
小倉駅で待ち合わせ、駅前で玄海さんへのプレゼント買って、行きました宝劇場へと。
銀行跡のビルを劇場に改修して、芝居に舞踊を連日公演しています。
「宝劇場」の看板は、大野先生の作品です。
楽屋に通されて、お会いした玄海竜二さんは、静かで謙虚な方でした。
この人が・・・ もっとすごいオーラの方を想像していたので、ちょっとビックリ。
でも、このビックリが、後で逆転大ビックリになるのですが。
嬉しかったのは、大野先生が玄海さんにワシを紹介してくれるのに
「赤塚さんは、ずっと玄海さんに会わせたかった、美術館が出来る前からの友達で、
伊勢のことを聞かせてもろたらそりゃスゴいですよ。
不思議なくらいいろんな人とつながっていて、その人たちに信頼されていて、人と人とをつなげるスゴか人よ」と言ってくださったのも幸せなことでした。
第一部は、お芝居です。
雪の夜話 という人情劇です。 展開も、ストーリーもまさに直球勝負でど真ん中ストライク、単純明快。
なのに、ボロボロ泣けるのです。
泣けて泣けて仕方ないのです。
ふと見ると、大野先生もポロポロ涙を流しながら舞台に釘付け。
ビックリしました、こんな感情が自分の中にあったことに。
言い方は良くありませんが、クサイ話しなのです。
その話に、こんなにも魂が揺さぶられるとは、驚きを超えて感動です。
聞けば、夕べこの芝居をすることに決めて、台本のない芝居の世界では、玄海さんが皆にセリフを教えたのだそうです。
口伝えでセリフを教え、立ち位置、どう動くのか・・・わずか一夜で、一時間半の芝居を仕上げ、お客を笑わせ、泣かせる。
毎日通ってくれるお客のために、常に新しくなければ飽きられてしまう。
ビックリしました。
初めての舞台だったそうです。
何という人たちでしょう!
第二部は、舞踊です。
みなさん素晴らしいのですが、玄海さんの踊りはもはや異次元。
重力が消えてしまったかの如く、滑るように舞います。
美しい。
すっぴんで楽屋にいるときの玄海さんと、舞台での玄海さん。
宮本武蔵が、国定忠治が降臨してひととき玄海さんの肉体を借りて、ワシらにメッセージを届けに来てくれているようです。
3時間以上に及ぶ舞台、入場料は1500円。
それで一座を維持し、劇場を運営してゆく・・・すごい世界です。
知らない世界は無限に広がります。
大野先生が、前日佐賀での講演会の後、わざわざこの日を選んで玄海さんを紹介してくださったのも、きっと必然なんでしょうね。
日常生活とは違う異次元の時空。
玄海竜二さん、まぎれもない地上天使です。
魂の洗濯になりました。
大野先生、何から何まですっかりお世話になって、ありがとうございました!