赤塚高仁ブログ

人が去るワケ

2014.08.16

  「高仁さん、あんたとこから人が辞める理由わかるか? 」

  ある心理学の先生にそう聞かれたとき、様々な理由を言った私です。
給料体系?  相性?  やりがい?・・・
枝葉に見えることではなく、根本原因にアプローチしないといけないと教えていただきました。
その根本原因とは・・・
 
 「高仁さん、それはな、あんたに希望が見出せなくなった。
         理由はただそれだけや。
それをしっかり観ること。後悔も反省も必要なし、
自分を見据え、自分の闇から目をそらさないことや」
 
 人は、相手に希望が見出せなくなるとき相手から去る。
その事実を我がこととして受け入れるのは容易ではありませんでした。
  ともすれば、原因を外側に求めてしまいがちです。
相手が悪いのだと決めつけ、本当の原因である自分の闇から目をそむけようとしてしまいます。
でも、一切の原因が自分にあると思えたとき、何かが変わるようです。
  
 現場監督の彼をいずれは、会社の後継者にしたいと考えていましたが、
彼にとっても希望ではなかったようです。
私は、一人の人が去ってくださったおかげで、実に多くのそして大きな学びをいただきました。
ただ、実際の現場では、こまりました。
その人が受け持ってくれていたことが、できる人いなくなる訳で。
辞めた人に恨みごとを言いながら、日々を過ごす時、心身ともに疲れ果てます。
そんなときに頼る相手も、同じようなエネルギーの人ですから、
やはり、愚痴や不平、不満、泣き言が多い日々となります。
 
 ところが、思いもよらないことが起きるのです。
残った人たちが、力を出し合って、これまで以上によくなってきたのです。
現場監督の目では、発見できないようなお客様目線の見積もりが生まれるようになってきました。
女性たちが、力を合わせて、過去の見積もり、過去の現場台帳、決算書を分析し、
新しい見積もりのソフトを開発したのです。
職人さんや業者さんとの交渉も、本島隊員がやるようになりました。
発注業務も、寛子さんと本島隊員がします。
マホちゃん先生は、お客様の希望を入力すると概算見積もりができるソフトを開発しました。
それが、実行予算とほぼ誤差がない確率まで精度が上がっているのです。
 
  明日ご契約いただく O様、
新しいスタイルのECOハウスを、ともに考えながら進んで参りました。
雨水の再利用をどうするか、
給水管の材質、電線の素材はどうするのか、
ひとつひとつ、徹底的に吟味してきました。
コンセントの一つ一つまで、何口にするのかアースはどうするのか・・・などなど
もちろん、折衝は私がさせていただいてきましたが、
  なんと、この家の見積りをしたのは、本島隊員なのです。
以前にいた現場監督でもむつかしいだろう  この家の見積りを、本島隊員がまとめてくれました。
サッシの一枚一枚、内装ドアの一枚一枚、丁寧に拾い出して作り上げてくれた見積もりは、
ご契約くださる O様に「満足です」と言わしめるほどのものでした。
  本島隊員も、これまで何度もやめそうになりました。
私も よく泣かせました。
  「社長は私が憎いんですか!?」と泣きながら訴えられたこともありました。
憎いわけはないのですが、腹が立って仕方ないときもありました。
よく耐えながら  彼女は、20年間 我が社に残ってくれています。
きっと、どこかに希望を見出してくれているに違いないのです。
 
 ようやく、ここから始まる予感に魂が熱くなってきています。
社員さんが希望を失うとき、社長から去るのですが、
社長が社員さんに希望を失うとき、その手を離してしまうのでしょうか。
これは、すべての人間関係の根っこのような気がします。
何もかもが優れている人が、田舎の小さな工務店に就職するはずがありません。
足りない者同士が出会わされ、その出会いとつながりのなかで、人生の学びを深め磨き合ってゆく。
 
 この一年半、実に実に実践を通して学ばせて頂けました。
社員さんから希望を見出してもらえるような自分であることと、社員さんに常に希望を見出せる自分であることを意識して生きます。
盆休み最後の一日は、そんな祈りの日として参ります。
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