赤塚高仁ブログ

自分で決めたわけだから

2014.09.20

 家が建築屋さんだから、稼業を継いで私も建築の仕事に就いています。

高校の頃、建築科に進もうと理科系の勉強をしたところが、まったくついてゆけませんでした。

関数などわかりませんでしたし、今でも三角関数もわかりません。

どれだけ補習をしても、ついてゆけませんでした。

完璧な落ちこぼれです。

ところが、国語と日本史、そして美術はよくできて、現代国語は全国模試でひとケタに入ったこともありました。

ふつう、進路を決めるとき自分の能力によって考えますよね。

人間それぞれ、得手と不得手があるわけですから。

10数校の受験をし、ことごとく失敗して、東京に行き浪人していた頃の私に会って言ってやりたいものです。

 「お前はいったい何がやりたいの? 本当に好きなものは何?得意なことは?」

 

 進学校と言われた私の高校では、東大、京大、地元三重大にいって医者になるというのが優秀な連中で、

あとは、教師になるものも多かったですね。

なぜか、高校生なのに目標があって、進路がはっきりしていて、必死に勉強してましたみんな。

とりあえず大学には行かなければいけないような風潮でしたから、何をしに行くというよりも、

人に聞かれて「ええ学校」に行くことが大事だったわけです。

基準はただ一点、 世間体 です。

就職も大手有名企業であることが、必須条件でした。

 

 戦後の日本は、「競争社会」「格差社会」あるいは「弱肉強食」という言葉が普通に語られるような、

「人と比べて自分の優劣を判断する」世界になってしまったように思えます。

みんなちがって、みんないい。

みんなつながっている。

大きな和をもって尊しとする、古来ヤマト人が最も大切にしてきた思想でなく、

比較し、競争し、勝たなければならない、力の世界、西洋の思想に感化されてしまったのかも知れません。

 欧米の思想は何でも素晴らしく、日本の考えは古くて劣っている。

それが、戦後の我が国の姿であり、国家全体が過度の競争社会になってしまっているように思えます。

人間にはそれぞれ、得手不得手があります。

それを比べて、一喜一憂することには意味がないのではないでしょうか?

「稼げるかどうか」「需要があるのか」「人に使われる」「キツイ」そして、「世間体が悪い」などという評価があっても、

本人が我を忘れて、誰かのために命を使っていれば最高の人生です。

日本人は、他人の評価など気にせず、やるべきことに打ち込める民族だったはずです。

人に何を言われようと、お天道様がみてくれていると。

人が見ていなくても、必要以上に真心をこめて仕事に精を出したのです。

私にも、日本人のDNAが刻まれています。

スイッチがオンになりさえすれば、日本人気質で仕事に対する気合も入るはずです。

 しかし、どうして日本人らしくない日本人の世界になったのでしょう。

社会の利益の前に、自分の利益を求めるといった、競争結果落ちてゆく人がいてもかまわず、

人と共に生きるのではなく、まず自分が生きることを優先する、我欲に満ちた世界は、まさに西洋文明社会ではありませんか。

 

 私は、自分の闇を見据えてみてよくわかりました。

自分の心の根底に 「自分を否定する感情」があるのです。

自分を否定し続けると、外からの影響で容易に変えられてしまいます。

とりわけ、その劣等感を揺さぶるような相手に出会うと、自己否定が起き、屈服し服従し、そして依存が始まるのです。

これは、仕事に責任感が持てない気持ちと同じです。

自分への自信のなさの裏側には、人からの評価の奴隷になっている自分があるのです。

人からどう思われているのか? 気になって仕方がないのです。

支配しようとする側は、そこにつけ込むのです。

あれほどまでに学業的には優秀だった若者たちが、一人の教祖に洗脳されていったオウムの出来事は象徴的です。

 

 5月に天皇陛下にお会いして、お話をさせていただいたときから、私の中で何かが大きく変わりました。

私たちの救いは、天皇陛下がいらっしゃるということです。

誰に何を言われようが、誰が何を言おうが、お天道様が願ってらっしゃることをただひたすらやる。

迷わずにやる。

お役目を果たすという姿を、一切の説明なしに見せてくださっている天皇陛下は世界の光です。

どんな闇も、光には勝たないのです。

 

 20年前に私の家を買ってくださった方が、人生の相談にいらっしゃいました。

奥様もウツになり、苦しい日々を通っておられました。

環境を変えましょう、 土地を買わないで使用させてもらって、負担を少なく新しい生活を今すぐ始めましょう。

私にしかできない提案をさせていただき、奥様は夢と希望が生まれ、別人のように明るくなられました。

家族の皆さんに笑顔が戻りました。

 

 三角関数はいまだにわかりませんし、現場では足手まといの社長ですが、

私には私にしかできない家づくり、街づくりがあります。

日本のお役に立ち、天皇陛下が喜んでくださるような仕事をします。

社員さんの生活をまもり、みんなが笑っていられたらいいですね。

まわりに幸せな人がいることが、私にとっての幸せの定義です。

  

 いまここのすべて、自分で決めたわけだから。

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